ネイティブ以上の英語を話す。米国発アプリ「ELSA」の威力と、創業者のアントレプレナー・マインド【後編】

CrossOverのCEO君島です、アメリカならではの「おもしろい、世界起業人」との出会いと気づきをシェアとして【前編】を紹介しました。ネイティブ英語のトレーニング・アシスタント・アプリ「ELSA」の創設者、Vu Van CEOのインタビューを通じて気づいたことを、シェアします。


■このインタビューを通じて、君島がCEOブログとして気づいた事。

自分たちのCrossOver事業もCo-livingの住居を提供するだけではなく、利用者のニューヨークでの可能性を支援することが嬉しいと思ったから、事業を始めた事に気づきました。


数えてみれば、CrossOverではこれまでにヨーロッパ、南米、アジア、アフリカなど74カ国から3,000人以上の来NYの方に住居を提供してきました。利用者の皆さんは自身の仕事やアカデミックの目標を達成するためにニューヨークを目指して来られています。


私達の事業は、居住手続きが複雑で高額なNYでの滞在を、「手頃な価格でカンタンに」住居を落ち着いてもらって、本来のニューヨークに渡る一人一人の目標達成に集中してもらいたいとの思いで事業を始めました。自分自身が最初のNYで「住居さがし」に苦労した経験から、心に決めた事業でした。


英語の発音に苦労と壁を感じられ事業を創業された、「ELSA」アプリのVu Van CEOとは共通点を感じます。Vu Van CEOのインタビュー記事を以下続けます。


インタビューの【後編】をどうぞ。


Q: アメリカに来た当初の発音習得の難しさを、克服されたコツを教えてください。


A: 多くの外国籍の生徒と同じように、私もベトナムの学校で文法やリーディング、ライティングを「学習」して育ちました。おそらくこれは他の各国の教育庁が、50年以上前に設定された英語の教育方法だろうと思います。


このような一方的な暗記座学では、非常に効果が少なく持続が難しいシステムです。私が米国に移住してみて気づいたのは、(母国での)学校の英語テストのスコアなどは、生徒も学校も誰も気にしていません(笑)。周りやコミュニティーが気にすることは、あなたの「今ここでの」スピーキング能力(同化する気持ち)だけ、なのです。


それに気づいた私は、スピーキングコーチとスピーキングセッションをスタンフォード大学でのネイティブの友人に徹底コーチお願いして、引き受けてもらいました。スピーキングをネイティブに向上させることは、まるでジムでのエクササイズに似た楽しさが生まれます。自分が自分に頻繁に課題を課す必要がありますし、継続して行う必要を知ることになります。当たり前ながら、一朝一夕に向上するものではないことを覚悟します。


■聞き取りやすさへの意識は、相手の尊重から生まれる

お伝えしたいのは、スピーキングの「聞き取りやすさ」を心がけるだけでコミュニケーション上での大きな効果が生まれます。つまり相手にとっての「聞きやすさ」を心がける事は、相手を思いやる事であり、自分主導の正しい英語文法より優る可能性がある点です。


会話の自然さを体に染み込ませるには、適切なサポート、適切なフィードバック、高いモチベーション、そしてそれを支えるテクノロジーを駆使し、あとは自分の強い意欲が必要でしょう。ELSAはこれらをアプリで解決するだけでなく、「寄り添ってお互いに向上したい」という思いから、事業運営しています。



Q: 「ELSA」を立ち上げの直前や、設立した直後のご苦労や工夫を教えてください。


A: 「事業資金がどれほど調達できるか」という課題は、自分がいかに資金提供者に「信用」を蓄積しているか、という通知簿が試されるイメージです。


ELSAの設立当初は、ELSA事業とは、果たして世の中の市場が待ち望んでいるかどうか(プロダクトマーケットフィット、と呼びます)を、自問して確認する作業の連続でした。ひょっとすると、自分たちが良いと思ってるだけで、誰も必要としないサービスだったらどうしよう、、、と考える連続です。


言語学習市場は巨大で、すでに多くの競合サービスが登場している領域です。素晴らしいサービスやアイデアを資金を投下して開発して発表しても、誰もがその製品に急に興味を持つわけではありません。ユーザー獲得のためのマーケティングに資金をかけられずに、誰にも知られずに終わる事業すらがありえます。


■資金調達とは、信用の積み上げ

その意味で事業を「起業」する最初に必要な事は、「資金調達」であり、これは非常に大きな課題でした。上手い経営とは、うまい資金調達とも言える程で、最初の資金が底を付けばゲーム終了です。さらに資金調達は、あなたの考えと工夫と努力のプロセスから生まれますが、その資金集め自体がゴールではなく、今後複雑な「鶏と卵」の理論がぐるぐると回り始めます。次から次へと課題の解決が始まります。


Q: 海外から米国やニューヨークに未来を見つけようとするCrossOverの入居者にメッセージをお願いします!


A: 私からの最大のメッセージは、「オープンマインド」に尽きます。

不可能かもしれないと考えず、どんなチャンスにも挑戦するつもりで来てください。人生には何が起こる分からないのと同時に、ニューヨークのような場所は「すべてが可能である」と感じさせてくれます。特に渡航に制限がある2020年の現在は、世論に流されるか、「あえて」可能性を見出すか、を考えるチャンスに恵まれていると思います。


私の出身のベトナムでは、多くの社会的圧力がありました。ここアメリカでは、あなたが誰であるかを誰も気にしません。自分は何でも出来るのです(もちろん、乱暴が許されるのではなく、社会の秩序への責任も自分が背負います)。


今まで習ったことの無い事の中で、これから知れることは何か?今まで考えたこともなかったけれど、実は、本当は、やりたいと思うことは何か?


その分野において、自然な会話(ネイティブなコミュニケーション)を機会を持てることは、大きな人間資産になります。これは英語に限った事ではなく、世界中の全ての人々に共通でしょう。


■相手に心を開いた、コミュニケーション

英語が必要な環境に身を置くぞ(仕事をするぞ、生活するぞ)と決める。これが最上の英語を学べる方法です。


現地の人々を知ること、自分基準ではなく彼らを理解するために、新しい国、新しい文化を理解する姿勢が最良の近道です。彼らと話してみたり、一緒に住んでみたりして、文化や食べ物、その他すべてのものに浸ってみてください。


コミュニケーションができることは非常に重要です。「しゃべる」だけでは相互コミュニケーションとは言えず、これまでの自分に閉じた中だけで過ごす延長になってしまいます。アメリカで暮らすことは、これまで慣れ親しんだ日常を手放し、相手を思うあなたのネットワークを広げるチャンスです。これが私が皆さんにお伝えしたい結論です。


ELSA CEO, Vu Vanさん、素晴らしいメッセージをありがとうございました。


CEOブログ:君島の気づき

■自分を奮い立たせてもう一歩踏み出す。未知の領域を体験することの価値


Vu Vanさんのお話の中で最も印象的だったのは、「人の可能性を広げるための」教育に対しての熱意と、ELSAを使って人々の生活向上に貢献したいという強烈な思いでした。Vu Vanさんは、自分の人生の中で成し遂げたいことについて、非常に強い決意を持っていました。


彼女の起業当時の話を聞いて驚いたのは、前職を辞めた時には起業するつもりはなかったということです。彼女が働きたいと思うような会社がなかったため、教育への情熱と自分の好きなことを追求するために、彼女は自分の会社を立ち上げたということです。彼女が起業した目的は、一攫千金や出世ではなく、純粋に教育への愛をもって人々の人生を変えたいということでした。


■自己流、と、相手に合わせるコミュニケーションとの違い


私自身、10年以上に渡ってアメリカ英語をスムーズに話すことができず、自信を持ってコミュニケーションをできなかった経験をしています。「自分の和製英語をネイティブの人に押し付ける」ことと「ネイティブの人と快適な会話ができる」ことの間には大きなギャップがあります。より多くの方達がELSAを通して、スムーズで快適な発音で会話ができることの価値を体感し、コミュニケーションの質が大幅にレベルアップすることを願っています。あなたが踏み出す一歩一歩が価値です。


【前編】はこちら

ELSA CEO VU VANとのインタビューの英文書き起こしはこちらから。

君島和也(ファウンダー/CEO)

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